plenty

天気雨が来場客の火照った身体を冷ます中、さらなる清涼感をもたらしたのはplentyのアクト。サウンドチェックで「理由」が鳴らされ、ステージ前に集結したオーディエンスの期待は否応なしに高まっていく。ゆっくりとステージに現れた江沼郁弥(Vo, G)、新田紀彰(B)、サポートメンバーの中畑大樹(Dr)、ヒラマミキオ(G)は機材の前にスタンバイすると、江沼のギターストロークを合図に1曲目「人間そっくり」を演奏しはじめた。
江沼は特徴的な高音ボーカルで焦燥感を表すように声を張り上げ、瞬時に観客を引き込む。バンドはそのまま「ACTOR」「枠」「劣勢」と矢継ぎ早に楽曲を披露して、Mt. FUJI STAGEを自分たちのものにしていった。そんな中観客はplentyが黙々と作り上げる音世界に耳を傾け、真剣な面持ちでステージに集中した。


彼らはひたすらに曲を届け、5曲目の「或る話」を終えてチューニングをする間にも口を開かない。しかし江沼の透き通るようなファルセットから演奏された「よろこびの吟」が、それまでの緊迫した空気をゆるやかなものに変化させた。ゆったりと奏でられるミドルナンバーと太陽の光で輝く細やかな雨粒とがあいまって、フィールドには美しい光景が広がった。

雨もあがった頃、ここで江沼が「こんにちはplentyです」と小さく一言。彼は目の前を見渡しながら、「じゃあ最後です。楽しかったです! ありがとうございましたー!」とはにかんだ。全7曲、冷静なようで熱のこもったパフォーマンスで魅せたplenty。最後の「蒼き日々」のあとに彼らへ贈られた温かい拍手はそれを象徴しているかのようだった。
セットリスト
01. 人間そっくり
02. ACTOR
03. 枠
04. 劣勢
05. 或る話
06. よろこびの吟
07. 蒼き日々
01. 人間そっくり
02. ACTOR
03. 枠
04. 劣勢
05. 或る話
06. よろこびの吟
07. 蒼き日々