サカナクション
初日LAKESIDE STAGEのラストを務めたのは、5年連続出演となるサカナクション。2008年の初出演以来躍進を続け、いよいよトリとしてステージに立つ。その姿を見届けようと、客席エリアは早くから多くの人で埋め尽くされた。
ライブは、メンバー5人が1列に並んでラップトップの前に立つ登場シーンから幕開け。民族音楽的なSEのリズムとともに拍手が大きくなると、ビジョンにはメンバーの姿が浮かび、それと同時に強烈なビートが重なる。そして岡崎英美(Key)の弾くきらびやかなシンセサイザーと山口一郎(Vo, G)のアンニュイなボーカルが絡み合う「モノクロトウキョー」をプレイ。湖畔のフィールドを広大なクラブへと変えた。
そこからはヒットシングルのオンパレード。山口の「いくぞ!」という叫びをきっかけに地面がうねるように揺れた「アルクアラウンド」、5人の荘厳なコーラスワークと観客の合唱が重なった「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」と続き、高揚感に満ちた音の洪水にオーディエンスは溺れていく。「僕と花」ではしっとりとした雰囲気が漂い、湿った会場の空気とあいまって、曲のメッセージがより深く観客の心にしみていく。
しかしシングルを連発するだけでなく、観客を驚かせる仕掛けを用意するのがサカナクションらしいところ。原曲を大胆に変えた「僕と花(sakanaction Remix)」で5人は再びラップトップの前に。色とりどりの照明がステージを照らす中、レーザーがステージ後方から放たれダンサブルなサウンドを強調する。そのままラップトップを前に「ネイティブダンサー」で後半戦へとなだれ込み、間奏中でバンド編成に戻る早技も披露。サウンドだけでなく、視覚的にも楽しませる演出でオーディエンスを盛り上げた。
クライマックスを彩ったのは、スモークが曲のドラマチックな側面を際立たせた「アイデンティティ」、メンバーのコーラスから自然とフェイドインした「ルーキー」の2曲。ハンドクラップがパーカッションのように響き、メンバーのコーラスと合唱が融合した瞬間、これ以上ない多幸感が会場全体を包み込んだ。
「ありがとうございました! サカナクションでした」と山口が挨拶し、メンバーがステージを去っても拍手は鳴り止まない。アンコールに応えるべく、ステージに戻ってきたメンバーは、笑顔で観客に挨拶。山口は「これからも自分たちのやりたいことを伝えていきたいと思います。僕たちは変わらないからさ。変わったら戦略だと思ってください」と改めてバンドのスタンスを伝える。さらに「新曲聴きたい?」と問いかけるや否や8月29日にリリースしたばかりのシングル「夜の踊り子」を夜空に響かせ、圧巻のパフォーマンスで初日のフィナーレを飾った。



セットリスト
01. RAP TOP OPENING
02. モノクロトウキョー
03. アルクアラウンド
04. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
05. 僕と花
06. 僕と花(sakanaction Remix)
07. ネイティブダンサー
08. アイデンティティ
09. ルーキー
<アンコール>
10. 夜の踊り子